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日外会誌. 122(5): 578-580, 2021

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定期学術集会特別企画記録

第121回日本外科学会定期学術集会

特別企画(3)「≪緊急特別企画≫パンデミック状況下における外科診療と教育」
8.医学生・研修医に対するオンラインでの手術手技の教授について

順天堂大学 乳腺腫瘍学講座

飯島 耕太郎 , 魚森 俊嵩 , 堀本 義哉 , 中井 克也 , 齊藤 光江

(2021年4月9日受付)



キーワード
乳腺, 手術動画, 教育, 研修医, IT

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I.はじめに
COVID-19により病院実習の中止など,医学教育や診療が阻害されてきた.特に外科においては実技をみられないことは問題となる.当大学においても病院実習が中止となり急遽オンライン実習をすすめる必要がでてきた.
当大学ではメールやファイル共有としてGoogle Workspaceを導入している.別ドメインからアクセス不可などセキュリティ担保されている.カンファについてはそのアプリのMeetsを利用することとした.また授業用のアプリにClassroomがあり,講義の管理や課題の作成,提出管理といったオンライン学習システムであり,手術動画配信についてはこれを用いた.
以前から当科では手術をウェアラブルカメラで収録しており,それを初学者の学習に利用しているが,それをライブラリにした.

II.方法
カンファは顕微鏡カメラ・電子カルテ端末からHDMIキャプチャーボードを介し入力し,動画配信ソフト(OBS:(https://obsproject.com/ja))で個人情報のマスキングや編集を行ってMeetsを用い配信した(図1).
動画資料はClassroomの資料部分にライブラリを作成し,基本的にはなるべく短い時間でコメントを入れた動画を作成して提供した.資料としては手術だけでなく,針生検などの検査手技,また講義やドキュメントや有用と思われるWeb資料も掲載した(図2).動画はポイントを絞り,手技の比較をしたもの(図3),また手術のTipsや検査・標本処理マニュアルも作成して収録した(図4).
実習終了後Classroomのレポート管理システムからオンラインで提出させた.これらはスマホでも記載でき,またレポートは一括してCSVダウンロードが可能である.

図01図02図03図04

III.医学生の感想など
実習レポートにオンライン実習の感想・意見を書いてもらった.ある程度気を遣っていると思われるが概ね好評であった.代表的なものを以下にそのまま掲載する.
・正直なところ,実際に病棟を訪れないと科のイメージは全然湧かないというのが正直な感想ですが,カンファレンスや手術動画は見やすいなと感じました(普段,見づらかったり聞こえづらかったりすることが結構あるので).
・手術動画やガイドライン等の資料を用意して下さりとてもありがたく,自分でも学びやすかったと思いました.他科ではzoom等を利用したクルズスをやる場合もあり,本科でも,少しでもかまいませんので,乳腺外科を学ぶ上でのキモや,実際に働かれている先生方のお話を伺うことができましたら,さらに良いと思いました.

IV.実施した印象について
実際行ってみると,前述の感想にあるようにその場で参加するより分かりやすいという意見があり意外な発見ではあった.また一度作ると暫くは教員側の省力化が図れた.
しかし,動画編集などのコンテンツ作成はやはり手間がかかることや,Classroomのような仕組は存在してもそれらについてKnow-Howの明示されたものがあまりなく,特定の個人の作業量が増す,手間の割には周囲に理解されにくいという点がある.このあたりは医師以外のサポートが必要であると思われるが,将来的にはもっとやりやすいシステムになるだろうと期待している.

V.おわりに
オンラインでの手術を含む臨床実習について報告した.臨床実習はやはりリアルに接することが望ましいが,今回行ってみてリモートでも十分対応出来る部分もあることが分かった.オンライン教育の進化は必要であるが,それを前提として,実際に病棟・手術実習でふれ合う部分で何が重要かを考えることが,今後外科を選ぶ人材発掘につながると思う.

 
利益相反:なし

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