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日外会誌. 122(5): 493, 2021

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会員のための企画

「リキッドバイオプシーの現況と展望」によせて

東邦大学医療センター大森病院 消化器外科

小池 淳一



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消化器癌に関わらず,固形癌の術後は定期的なフォローアップを採血検査や画像検査,内視鏡などで行っていると思います.採血検査ではいくつかの腫瘍マーカーを組み合わせて3カ月毎に行い,画像検査ではCTやMRIなどを6カ月毎に行うことが多いと思います.時々外来で毎月検査をして欲しいと訴える患者に出会うことがあり,医療経済的なことや被曝,検査予約が困難なことを理由にお断りした経験があるのではないかと思います.現在の癌診療ではprecision medicineとして遺伝子解析の結果を元に行われるようになってきましたが,術後フォローアップについては定期検査にとどまっています.今後遺伝子解析技術の進歩により,個別化されたフォローアップや術後補助化学療法の導入基準への応用が期待されます.
近年,次世代シークエンサーの登場や特殊なPCRの開発などによって,遺伝子解析の精度が飛躍的に発展してきました.それらを用いて体内で循環している腫瘍のDNAを検出可能となり,リキッドバイオプシーとして注目されています.現在のところ,担癌患者のリキッドバイオプシーの結果により化学療法の治療薬選択に寄与することが期待されていますが,今後は治癒切除後患者の術後フォローアップや術後補助化学療法導入基準にprecision medicineとしてリキッドバイオプシーの応用が期待されます.
今回,このリキッドバイオプシーの現況と展望に関して,黎明期より大腸癌化学療法へのリキッドバイオプシーの応用について取り組まれている日本医科大学消化器外科准教授の山田岳史先生に執筆を依頼いたしました.この総説において日本外科学会会員の皆様にリキッドバイオプシーについて知っていただき,今後の臨床にお役立てていただければ幸いです.

 
利益相反:なし

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