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日外会誌. 122(5): 434, 2021

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会員へのメッセージ

財務委員会で取り組んだこと

日本外科学会財務委員長,自治医科大学外科学講座消化器一般移植外科学部門 

佐田 尚宏



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2018年度から日本外科学会理事,財務委員長を拝命しました.会員数4万人を超える日本外科学会の年間予算は学会本体が約6億円,日本外科学会定期学術集会が約4億円の合計約10億円(2020年度),日本の学会の中でも有数の規模です.ここ数年は毎年黒字決算ですが,将来にわたり健全財政を維持することが財務委員会の重要な役割です.この3年間で対応した大きな課題は,事務所移転,消費税増税対応,そして新型コロナウイルス感染症対策でした.本学会の現在の事務所は東京都港区浜松町の世界貿易センタービルにあり,1970年に開業した当時は超高層ビルの代表格でしたが,老朽化と再開発計画により2021年度中に解体が予定されています.そのため,新事務所に移転する必要があり,様々な議論がありましたが,最終的に解体される世界貿易センタービルの隣に新たに建てられる新世界貿易センタービルディング南館に2021年度中に入居することとし,2021年6月25日に移転しました.東京オリンピック開催が予定されていることもあり,東京都心の事務所家賃は高騰しています.高い賃料での契約は固定費増となり,将来にわたり財政の負担になります.加えて敷金・礼金,引越費用などの臨時支出が見込まれていましたが,同一法人内での移転という恩恵もあり,大きな負担増となることなく乗りきることができました.
消費税2%の増税(8%⇒10%)は本学会にとっては2,000万円程度の支出増になります.対応策として検討したのが年会費値上げでした.現在日本外科学会の年会費は1996年度に消費税3%から5%に増税時8,000円から10,000円に値上げされた以降,約25年間据え置きになっています.この点についても議論を重ね,費用削減,手数料等の外税化で対応することとし,年会費は今回も据え置きとしました.会員の方々に一律に負担いただく年会費に見合った学術活動を行うことが学会としての使命で,今後も低コストで効率的に行っていくことが重要と考えています.
そして,2020年2月以降の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行という極めて特殊な状況で学会活動は大きく制限を受けました.第120回日本外科学会定期学術集会が完全WEB開催されたこともあり,当初予算とかなりの乖離が生じたため,2020年度は補正予算を編成しました.第120回日本外科学会定期学術集会の北川雄光会頭が,極めて適切に対応いただき,会議費用等の大幅な削減もあり,2020年度も当初予算比かなりの黒字決算になりました.本学会の財務は,損益収支が平均-6%を超える特定機能病院の財務状況に比べると,極めて健全な運営がなされています.ただ,今後NCDおよび日本専門医機構への負担金の処理,増加するシステム管理費,高騰が予想される英文2誌発行手数料など,財務に大きな影響を与える可能性のある課題が複数あり,健全な財政維持に向けては,多くの方々の協力を得て,より一層予算適正化の取り組みを強化しなければいけないと感じています.

 
利益相反:なし

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