[書誌情報] [全文HTML] [全文PDF] (506KB) [全文PDFのみ会員限定][検索結果へ戻る]

日外会誌. 122(3): 343, 2021

項目選択

手術のtips and pitfalls

「valve in valve TAVR時代の大動脈弁治療」によせて

千葉大学 心臓血管外科

松浦 馨



このページのトップへ戻る


 
経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVR)の成績が向上し,ハイリスクの大動脈弁狭窄症(AS)には広く施行されるようになったが,大動脈弁閉鎖不全(AR)には施行できないなど適応に限界がある.また重症ASに関しても,今でも標準的治療は外科的大動脈弁置換術(SAVR)である.SAVRの弁種選択の際には,機械弁による血栓性合併症や出血リスクの増大を鑑み,近年は生体弁の使用が増加する傾向にある.若年患者への生体弁治療が増えていることや,患者層の全体的な長寿化が進んでいることで,今後生体弁の構造的劣化,いわゆる人工弁不全が増加することが予想される.重症の人工弁不全に対しては再手術も可能ではあるが,初回手術に比べるとリスクが高い.一方で低侵襲の治療法である,valve in valve TAVRが本邦でも可能となった.
Valve in valve TAVRの登場によって,初回のSAVRにおいても将来のvalve in valve TAVRを見据えた工夫が必要となり,他方,valve in valve TAVRを施行する際にも,初回のAVRについての詳しい知識が必要となる.
SAVRを行う際には将来valve in valve TAVIが必要となる可能性がどれくらい高いのかどうか,また将来valve in valve TAVIが必要な場合にそれが容易な解剖形態であるかどうか,また将来valve in valve TAVIに向けてSAVRの時点でテクニカルに気を付けるべきところがあるか,など様々な点から検討することが必要である.
またvalve in valve TAVRを施行する際には初回のSAVRの弁種,サイズ,植え込み方法,などを十分に理解して施行することが必要である.
TAVRの施行においては心臓外科医と循環器内科医がハートチームを構成して共同で施行しているが,特にvalve in valve TAVIにおいては外科医の参画が非常に重要となる.
以上のような観点から,今回は<valve in valve TAVR時代の大動脈弁治療>というテーマで,大動脈弁置換術での注意点と,valve in valve TAVR施行時の注意点を外科医の立場から論じていただきたく,二人のTAVRに深く参画されている先生方に下記タイトルで執筆を依頼しました.

 
利益相反
奨学(奨励)寄附金:大塚製薬株式会社,センチュリーメディカル株式会社,エドワーズライフサイエンス株式会社,テルモ株式会社

このページのトップへ戻る


PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。