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日外会誌. 122(1): 9, 2021

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特集

肺・胸腺神経内分泌腫瘍の治療

1.特集によせて

東邦大学医学部 外科学講座呼吸器外科学分野

伊豫田 明



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部位別がん死亡率第1位の肺癌の中でも極めて予後不良な小細胞癌は,肺神経内分泌腫瘍に分類されている.呼吸器領域の神経内分泌腫瘍は1970年代より,定型的カルチノイド,非定型的カルチノイド,小細胞癌の分類に基づいて長く診療と研究が行われてきた.その後1999年のWHO肺癌組織分類改訂に伴い大細胞神経内分泌癌が明文化され,その当時は大細胞癌の一亜型であったのが2015年に肺神経内分泌腫瘍の一つに分類されることとなり,現在では定型カルチノイド,異型カルチノイド,大細胞神経内分泌癌,小細胞癌の四つのカテゴリーに分類されている.
同じ呼吸器領域でも肺と胸腺で腫瘍の特性が一致しない部分があるなど神経内分泌腫瘍といっても発生臓器によってその特性は異なるが,肺以外の臓器に発生した特に高悪性度神経内分泌腫瘍の治療については,肺の大細胞神経内分泌癌や小細胞癌の治療戦略を参考に治療されている場合が多くみられる.
今後神経内分泌腫瘍の治療成績をさらに向上させるために,専門とする臓器以外に発生する神経内分泌腫瘍の特徴を知ることは研究の進歩にとっても重要であると考えている.
本特集では,肺・胸腺神経内分泌腫瘍における定型・異型カルチノイド,大細胞神経内分泌癌,小細胞癌,さらに診断において欠かせない細胞診の役割,治療において基礎となる病理診断・分類に関して執筆をお願いした.ご担当頂いた先生方はすべて呼吸器外科医であり,細胞診,病理に関しても外科医の視点からみた神経内分泌腫瘍の特集を組めたことは大変意義深く,様々な分野で御活躍されている先生方にご執筆をお願いできて大変光栄である.会員の先生方の診療・研究のご参考になることを願っている.

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