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日外会誌. 121(4): 464-468, 2020

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手術のtips and pitfalls

再発例から見た積極的縮小手術のpitfalls

兵庫県立がんセンター 呼吸器外科

西尾 渉



キーワード
肺癌, 再発, 区域切除

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I.はじめに
原発性肺癌に対する積極的縮小手術の適応と術式を考える際,様々な検討が行われてきた腫瘍学的特性に加えて腫瘍の局在に注目する必要があります.画像的浸潤癌を対象とした積極的区域切除に関するわれわれの検討では,日常臨床で施行する機会の多いS6切除と左上葉の上大区や舌区切除は局所再発の頻度が低く,予後も肺葉切除に比べて遜色ありませんでした.一方,右上葉と両側下葉底区の選択的区域切除は局所再発の頻度が高く,予後も肺葉切除に劣っていました1)
右上葉で局所再発が多い理由としては,3区域しかないため肺機能温存を重視すると切除マージンが小さくなりがちであった可能性を考えましたが,底区についてはこれといった理由を思いつきません.そこで担癌区域内での腫瘍の位置を亜区域に細分して検討したところ,右上葉ではS2b/S3aで局所再発が高頻度でした.底区についてはS8aで局所再発の頻度が高い結果でしたが,S9a,S10aにも再発例を認めました.さらに母数が大きく目立たないものの,S6bにも複数の再発例がありました.これらの亜区域に共通するのは,より多くの隣接区域に接しており,担癌区域単独の切除では十分な切除マージンの確保が困難な点です.したがって,これらの腫瘍局在に対して積極的縮小手術を予定する場合,術前に3次元画像解析システムを用いて切除マージンを評価し,必要があれば隣接区域/亜区域を合併切除するシミュレーションを行っておけば自信をもって手術に臨むことが出来るでしょう.
術中はこのシミュレーションに基づき,まず肺門側で切除予定区域の肺動静脈と気管支を切離します.その後,肺門側から肺野末梢に向けて,いわゆる『庇』を形成するように肺実質を剥離します.この工程が区域切除のクリティカルポイントといえますが,指標となるのは隣接する温存区域の肺動脈・気管支と区域間を走行する肺静脈です.以下,本稿では右上葉と底区の区域切除を例にとり,十分な切除マージンを確保しつつ円滑に切除を進めるためのtipsを解説いたします.

 
利益相反:なし

図1 図2 図3 図4 図5 図6 図7

図01図02図03図04図05図06図07

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文献
1) Nishio W , Yoshimura M , Maniwa Y , et al.: Re-Assessment of Extended Segmentectomy for Clinical T1aN0 Non-Small Cell Lung Cancer. Ann Thorac Surg, 102: 1702-1710, 2016.

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