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日外会誌. 121(3): 340-344, 2020

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手術のtips and pitfalls

REBOA(rescuscitative endovascular balloon oclusion of the aorta)

千葉大学大学院 医学研究院救急集中治療医学

中田 孝明 , 島田 薫



キーワード
外傷, 出血, 蘇生, ショック, 心停止

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I.はじめに
REBOA(rescuscitative endovascular balloon oclusion of the aorta)は,大動脈内(通常は横隔膜上)でバルーンを膨らませ,血流を遮断し,遮断遠位における損傷部からの出血を一時的に低下させる蘇生を目的とした手技である1)
REBOAカテーテルは大腿動脈に留置したシースイントロデューサーよりガイドワイヤー下で留置する.
大腿動脈穿刺の際,低血圧により動脈の拍動触知が困難な症例では,超音波を活用した血管穿刺やカットダウンによる血管確保も選択肢となる.次に超音波検査やレントゲン検査(単純X線・X線透視)を用いガイドワイヤーを適切な位置まで挿入する.左心室,内頸動脈,鎖骨下動脈,腸骨動脈など様々な不適切位置への留置例が報告されており注意が必要である.続いてガイドワイヤー越しにREBOAカテーテルを目的の位置まで挿入する.高齢者の血管狭窄,石灰化,蛇行はREBOAカテーテル留置困難要因である2)
REBOAカテーテルを正しい位置に留置したら,ガイドワイヤーを抜去し,同部位よりスタイレットを挿入し,カテーテルの硬性を高める.これは,バルーンを膨らませた際に動脈圧によりカテーテルがたわみ,バルーンの位置が押し下げられることを防止するためである.なおスタイレット挿入下でもバルーンの押し下げは起こるため,拡張時はカテーテル留置と同様に,超音波検査やレントゲン検査で位置を確認する必要がある.バルーンに大動脈壁接触による抵抗を感じるまでゆっくりと生理食塩水(または希釈造影剤)を注入し大動脈を遮断する.遮断は急激な血圧変化を来たし得るため循環動態のモニタリングを注意深く行う必要がある.また遮断時間の管理も行う.根治的な止血が得られ循環動態が回復した後,注入した生理食塩水を吸引除去しバルーンを収縮させREBOAカテーテルを抜去する.バルーンの不十分な収縮はREBOAカテーテル抜去困難の原因となるため十分に収縮させ抜去する.シースイントロデューサー不要時は早期に抜去する.
REBOAにより出血の減少と血管抵抗の上昇による血圧上昇効果を期待できるが,損傷部の根治的止血効果はなく,根治的止血術(外科的止血術や経カテーテル的動脈塞栓術)の早期施行が必要である.

 
利益相反
役員・顧問職:株式会社Smart 119
株:株式会社Smart 119

図1図2図3図4図5図6図7図8

図01図02図03図04図05図06図07図08

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文献
1) Bulger EM, Perina DG, Qasim Z,et al.: Clinical use of resuscitative endovascular balloon occlusion of the aorta (REBOA) in civilian trauma systems in the USA, 2019:a joint statement from the American College of Surgeons Committee on Trauma, the American College of Emergency Physicians, the National Association of Emergency Medical Services Physicians and the National Association of Emergency Medical Technicians. Trauma Surg Acute Care Open, 4(1):e000376, 2019. doi:10.1136/tsaco-2019-000376. eCollection 2019.
2) Davidson AJ, Russo RM, Reva VA, et al.: BEST Study Group. The pitfalls of resuscitative endovascular balloon occlusion of the aorta:Risk factors and mitigation strategies. J Trauma Acute Care Surg, 84: 192-202, 2018.

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