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日外会誌. 121(2): 210, 2020

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「外科領域におけるArtificial Intelligence(AI)の活用」によせて

横浜市立大学 消化器・腫瘍外科学

熊本 宜文



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近年,Artificial Intelligence(AI)開発が加速し,AIという単語が頻繁に耳目に触れるようになってきた.さらにAIがこれまで人間にしか出来なかった仕事を人間以上に正確に実行出来るようになり,仕事がなくなり失業者があふれるという怖れを持つ人も増えている.例えば,AIを用いた自動車の完全自動運転システムが実用化されればバスやタクシー運転手が大量に失業することが予想される.
今後AIが進歩すると,医師の仕事も取って代わられてしまうのであろうか.厚生労働省によれば,AIは医師の支援ツールにすぎず,判断の主体は医師であるとの認識を示している.当分の間は医師の仕事はなくならないものと思われるが,領域によっては今ほど医師の数は必要なくなるかもしれない.
支援ツールとしてのAIはどの程度,進歩しているのであろうか.腫瘍内科の分野では,医師が根拠に基づいた治療判断を行えるよう,治療の選択肢を,裏付けとなる根拠とともに表示するAIが開発されている.さらに,AIは画像に強いといわれているが,放射線画像や内視鏡画像などの画像診断分野では,診断を支援するツールが急速に開発されつつある.
それでは外科治療の分野はどうなっているのであろうか.将来的には難しい手術も疲れや集中力の低下を起こさないAIを用いたロボットにより置き換わると思われるが,現在の最先端の状況を国立がん研究センター東病院大腸外科,手術機器開発室の竹下修由先生,伊藤雅昭先生に解説いただいた.
映画「エイリアン」の続編「プロメテウス」で,主人公が自身の体内にエイリアンがいることを知り,全自動手術ロボットを用いて取り出すシーンがあった.これは2093年の設定であるが,それまでに全自動手術ロボットは実用化されるのであろうか.加速するAI進化からわれわれ外科医も目が離せない.

 
利益相反:なし

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