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日外会誌. 126(5): 465-470, 2025


会員のための企画

外科診療・外傷診療におけるチームビルディングの重要性

大阪公立大学 大学院医学研究科救急医学
大阪公立大学医学部附属病院 救命救急センター

内田 健一郎

内容要旨
患者の治療におけるデバイスの発展や治療方針の高度化を含めた技術革新は日々目覚ましく進歩していく一方で,患者治療方針に際する戦略や戦術の決定,手技の実践,多職種を交えたチームの連携,情報共有などにおけるヒューマンエラーをいかに低減し,最高のチームパフォーマンスで患者に治療を提供できるかはわれわれ医療従事者にかかっている.
テクニカルスキルと同様に意識的に取り組まなくてはいけないノンテクニカルスキルの向上は,医療業界で課題となる以前に航空業界で幅広く取り上げられてきた.
迅速かつ的確な決断と治療の遂行が求められる外傷診療において,チームのエラーを最小限とし,全職種が最高のパフォーマンスを発揮しつつ患者アウトカムを最大限に高めるためのチームビルディング構築の取り組みとして,われわれの施設では①患者搬入前のブリーフィングの徹底とデブリーフィングの実施,②Closed Loop Communicationの実践と2 challenge ruleの理解,③科内共通言語・思考プロセス認知のための教育ツールの使用,④多職種を交えた臨床シナリオベースのシミュレーショントレーニング,⑤ノンテクニカルスキル向上のためのオフザジョブトレーニングの開発と継承,の五つを実践している.
センター内で職種を超えてこれらの概念をチーム内に浸透させることにより,チームビルディングとそれに必要なコミュニケーションの向上,リーダーシップとフォロワーシップの確立に努めている.

キーワード
チームマネジメント, チームビルディング, 外傷診療, Crew Resource Management, ノンテクニカルスキル


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