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書誌情報]
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日外会誌. 126(5): 435-442, 2025
特集
医療機器開発と医工連携
5.外科医が主導する医療機器開発
内容要旨
外科医主導による医療機器開発の実践例として,大阪大学次世代内視鏡治療学講座(プロジェクトENGINE)の活動を通じて得られた知見を報告し,その意義と課題について考察した.プロジェクトENGINEは,臨床現場の普遍的なニーズに基づき,産学連携によるオープン・イノベーション型の開発体制を構築し,企画・立案,試作,知財戦略,薬機法対応から事業化支援にいたるまで一貫して外科医主導による研究開発活動を展開してきた.これまでに約50社と連携し,30件近い医療機器の事業化を達成するとともに,160件超の特許出願と56本の英文学術論文を発表している.近年実施した内部評価の結果,1)知的財産の取得,2)外部資金の獲得,3)学術的アウトプット,4)研究開発初期からの販社の関与,の4因子が事業化成功と有意に相関することが明らかとなった.いっぽうで,企業側の経営判断や臨床医の機器開発へのモチベーション維持には課題も残る.医療機器開発を単なる「ものづくり」ではなく「学問」と位置づけ,次世代医師の育成と持続的な開発基盤の確立に取り組んでいきたい.
キーワード
医療機器, 機器開発, 産学連携, 医工連携, イノベーション
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