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日外会誌. 126(4): 347-353, 2025
特集
移行期医療を考える.現場からの提言
5.直腸肛門形成異常のトランジション
内容要旨
直腸肛門形成異常には鎖肛(低位,中間位,高位),総排泄腔異常症(総排泄腔遺残症,総排泄腔外反症)がある.様々な種類の外科的治療が行われ,中・長期的な視点から多くの診療科と職種が関わる必要がある.
排便機能については排便管理の方法,自立排便の確立,便秘,便失禁,便汚染などについて評価が行われる.総排泄腔異常症では永久人工肛門管理が必要な場合もある.
排尿機能については様々な泌尿器系の疾患を合併することも要因で進行性の腎機能障害が問題となる場合もある.術後合併症として起こりうる尿道後部憩室,直腸尿道瘻の再発,また神経因性膀胱,尿失禁などについては生活のQOLに著しくかかわる.
生殖器機能は男性においては合併する尿道下裂,停留精巣などによる影響,また手術の影響による勃起障害,射精障害,女性においては腟・子宮奇形の影響やそれらに起因する生理異常,卵巣機能不全などが挙げられる.共通する問題として性交渉の障害,妊孕性に関する問題,さらに性同一性障害などが挙げられる.
その他,脊椎・神経系の問題や精神・社会的な問題も多面的にサポートする必要がある.
本疾患群は成人後も小児診療科と成人診療科が共同で診る必要がある疾患群である.近年の学会や班研究,行政の取り組みにおいてそれらを協働で行い,また患者と共に考える動きも活発化している.
キーワード
鎖肛, 総排泄腔異常症, 排便機能, 排尿機能, 生殖器機能
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