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日外会誌. 125(5): 423-429, 2024


特集

乳癌治療における手術の省略について考える

6.cN+症例に対するリンパ節郭清省略

帝京大学医学部 外科学講座

松本 暁子

内容要旨
臨床的リンパ節転移陽性(cN+)乳癌の約40%において,術前化学療法(NAC)によりリンパ節転移が陰転化する.このような症例では,腋窩リンパ節郭清(ALND)に代わる腋窩手術のde-escalationが可能となる.しかし,cN+症例に対するセンチネルリンパ節生検(SLNB)は,偽陰性率や同定率が劣ることが指摘されており,リンパ節転移が残存する可能性がある.そこで,SLNBの安全性改善のために,センチネルリンパ節(SLN)の同定に2種類のトレーサーを併用したり,SLNの摘出個数を増やすなどの方法が検討されている.また近年,NAC前に転移リンパ節をクリップなどで標識してSLNとともに摘出するtailored axillary surgery(TAS)の有用性が報告されている.NACを施行したcN+乳癌において,安全にALND省略が可能となれば,リンパ浮腫などの合併症を軽減でき,患者のQOL向上が期待できる.

キーワード
リンパ節転移, 腋窩リンパ節郭清, センチネルリンパ節生検, 術前化学療法, tailored axillary surgery

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