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日外会誌. 125(4): 348-357, 2024


特集

肺癌外科診療up to date

8.局所進行肺癌に対する内科治療後の手術,拡大手術

産業医科大学 第2外科(呼吸器・胸部外科)

田中 文啓 , 竹中 賢

内容要旨
局所進行肺癌には隣接臓器浸潤例や縦隔リンパ節転移等の多様な病態が含まれ,治療戦略も個々の症例に応じた治療選択が重要である.切除可能な進行非小細胞肺癌に対しては集学的治療が考慮されるが,1)手術先行で術後補助療法を考慮,2)術前導入療法後の手術,のいずれが良いのか,については議論が分かれる.また,術前導入療法として,化学療法または化学放射線療法のいずれが良いかについても明確ではない.近年,進行非小細胞肺癌に対する薬物療法の中心となったチロシンキナーゼ阻害剤等の標的薬剤や免疫チェックポイント阻害剤等が,周術期治療においても臨床試験で検討されつつある.このうち,術前導入療法として化学療法に抗PD-1/L1抗体を追加する効果が複数の臨床試験で示され,実臨床でも実施例が増加しつつある.また,初診時は切除不能と判断されても,内科治療後の再検討により切除(サルベージ手術)が考慮される例も増えつつある.特に,標的薬剤や免疫チェックポイント阻害剤が著効し,手術により良好な予後が期待される例の報告が増えつつある.このような内科治療後の手術は,拡大手術も含めて安全性については概ね大きな問題は無いようであるが,有効性については不明の部分も多い.本稿では局所進行肺癌に対する内科治療後の手術について,現状と将来展望につき概説する.

キーワード
肺癌, 術前導入療法, 免疫療法, 標的療法, サルベージ手術


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