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日外会誌. 125(3): 252-257, 2024


会員のための企画

わが国におけるがんゲノム医療の現在と未来―パネル検査から全ゲノム解析研究を含めて―

1) がん研究会有明病院ゲノム診療部,乳腺センター乳腺内科,国立高度専門医療研究センター医療研究連携推進本部全ゲノム解析等事業実施準備室臨床・患者還元支援チームマネージャー 
2) がん研究会有明病院先端医療開発科がんゲノム医療開発部,乳腺センター乳腺外科,国立高度専門医療研究センター医療研究連携推進本部全ゲノム解析等事業実施準備室臨床・患者還元支援チームリーダー 

深田 一平1) , 上野 貴之2)

内容要旨
近年,「がん細胞」に起きている遺伝子の変化を調べ,その特徴を知ることで,個々のがんの病態把握や病状に適した,より効果的・効率的ながん治療を行うことが期待されている.2018年3月に閣議決定された第3期のがん対策推進基本計画において「がんゲノム医療」の文言が盛り込まれ,がんゲノム医療の推進に向けて必要な体制整備等を進められ国民皆保険制度の下で本格的な運用が始まった.さらに,2019年12月末公表された全ゲノム解析等実行計画(第1版)のもと,全ゲノム解析等を進めることにより,一人ひとりにおける治療精度を格段に向上させ,治療法のない患者に新たな治療を提供するといったがん医療の発展や,蓄積されたデータを研究・創薬などへ活用,ひいては,がんの克服を目指した取組みが国を挙げて推進されている.このような状況の中,全ゲノム解析等の事業化に向けて2023年4月に事業実施準備室が発足している.わが国において実践が進んでいるがん遺伝子パネル検査を用いたがんゲノム医療の現状について解説するとともに,全ゲノム解析等実行計画における全ゲノム解析結果の患者還元に関する取組みを紹介しながら,わが国における,がん全ゲノム解析の現状とその将来展望について紹介する.

キーワード
がんゲノム医療, 個別化医療, 遺伝子パネル検査, 全ゲノム解析

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