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日外会誌. 124(1): 32-37, 2023


特集

独自の進歩を見せる日本の甲状腺癌治療学

5.甲状腺未分化癌治療における最近の進歩

信州大学医学部 外科学教室乳腺内分泌外科学分野

伊藤 研一 , 森川 大樹 , 網谷 正統 , 清水 忠史 , 大場 崇旦 , 伊藤 勅子 , 金井 敏晴

内容要旨
甲状腺未分化癌は頻度は少ないが甲状腺癌による死亡の半数近くを占める.極めて悪性度の高い希少癌であり,これまでに様々な治療が試みられたが生命予後の改善が得られなかった.本邦では「甲状腺未分化癌研究コンソーシアム」により,世界に類をみない未分化癌の大規模データベースが作られ,未分化癌の臨床像の解析が進んだ.また,医師主導試験によりパクリタキセル週1回投与法の認容性が示された.一方海外では,近年のprecision oncologyの進歩に伴い導入されたBRAFRET/PTCNTRK遺伝子変異やtumor mutation burdenに基づく分子標的薬の使用により,未分化癌の生命予後の著明な改善が示され,これらの治療は既にガイドラインにも明記されており,本邦の現状とは大きな乖離が生じている.これまで長きにわたり治療成績の改善が得られなかった未分化癌の予後が,precision oncologyの進歩によりやっと改善しつつある.本邦でも一刻も早く,未分化癌に対して遺伝子変異に基づく治療を施行できる体制が確立されることが切望される.

キーワード
甲状腺未分化癌, precision oncology


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