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日外会誌. 123(4): 318-324, 2022


特集

医療訴訟のここがポイント―外科医にとって今必要な知識―

4.消化器外科関連の医療訴訟の光と影―抗凝固薬の休薬期間と過失―

1) JCHO東京蒲田医療センター 
2) 蒔田法律事務所 

渡邊 正志1) , 田村 晃1) , 石井 耕司1) , 蒔田 覚2)

内容要旨
医師と患者との契約は,一般に「準委任契約」と理解される1) .仕事の完成を約束する請負契約とは異なり,準委任契約としての診療契約では,各時点における患者の病状を前提として医師において善管注意義務を尽くすことが求められる.この善管注意義務の内容は不法行為責任における「過失(注意義務違反)」の内容と重なる.現在の医療訴訟では,善管注意義務あるいは過失の内容を検討する上で,添付文書やガイドラインは無視しえないものとなった.
添付文書は本来業者が作成したもので記載が防衛的である,適応外使用でも審査上認めると明記されているものもあり2) 不統一であるとの意見がある.ガイドラインも濫立,自分の専門から離れたものは把握困難,誰が作ったかで推薦度が異なるなど意見がある.だが,医療訴訟において添付文書やガイドラインは益々重視される傾向にある.そこで,これら作成者や作成経緯,実施状況等を見極め,個々の施設で遵守できる体制を作ることが肝要である.抗凝固薬の休止期間については特に注意喚起をしたい.

キーワード
善管注意義務, ガイドライン不遵守, 特段の合理的理由, 説明義務違反, 休薬期間と過失


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