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日外会誌. 122(1): 18-25, 2021


特集

肺・胸腺神経内分泌腫瘍の治療

3.定型カルチノイドの治療

1) 北海道大学 循環器・呼吸器外科
2) 北海道大学 病理部・病理診断科

氏家 秀樹1) , 樋田 泰浩1) , 大塚 慎也1) , 佐々木 明洋1) , 山崎 洋1) , 藤原 晶1) , 加藤 達哉1) , 加賀 基知三1) , 若狭 哲1) , 松野 吉宏2)

内容要旨
定型カルチノイドは低悪性度(高分化型)な肺神経内分泌腫瘍(Neuroendocrine neoplasms,NEN)であり,比較的緩徐に増大し,胸部外の臓器に転移することはほとんどないとされている.本邦の2018年度肺癌診療ガイドライン,およびNational Comprehensive Cancer Network(NCCN)ガイドラインによると,カルチノイドの治療は,カルチノイドの種類(定型,異型)および腫瘍の進展度(切除可否)に大きく依存する.一般的に,切除可能な限局型のカルチノイド腫瘍は,非小細胞肺癌と同様に肺葉切除術および縦隔リンパ節郭清術で治癒し,他の治療を必要としない.定型カルチノイドでは,異型カルチノイドと比べてリンパ節転移の可能性も低く,十分な切除断端が確保できれば,気管支管状切除などの肺温存手術を試みることができる.稀に切除不能な定型カルチノイドが存在するが,緩徐に成長する傾向があり,化学療法と放射線治療の利点は不明であるため,経過観察になることも多い.ソマトスタチンレセプター陽性例に対しては,ソマトスタチンアナログによる治療を考慮する.以上より,カルチノイドの治療は,カルチノイドの種類,および腫瘍の進展度に大きく依存するため,適切な病期・病理診断が重要である.

キーワード
定型カルチノイド, Typical carcinoid, 神経内分泌腫瘍, Neuroendocrine neoplasms(NEN), Neuroendocrine tumors(NET)

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