[書誌情報] [全文HTML] [全文PDF] (2598KB) [全文PDFのみ会員限定][検索結果へ戻る]

日外会誌. 121(5): 503-509, 2020


特集

改めて認識する小児急性腹症治療に対する外科医の役割

4.急性虫垂炎

東京都立小児総合医療センター 外科

下島 直樹 , 月崎 絢乃 , 東 紗弥 , 原田 篤 , 石塚 悦昭 , 水野 裕貴 , 石濱 秀雄 , 加藤 源俊 , 富田 紘史 , 下高原 昭廣 , 広部 誠一

内容要旨
小児の急性虫垂炎は急性腹症における最も頻度の高い疾患である.にもかかわらず正確な診断が難しいことが少なくない.
最新のNational Clinical Database報告によると,小児の急性虫垂炎治療は小児外科認定施設,教育関連施設以外の病院で約7割が施行されており,一般消化器外科医を中心とした,小児外科を専門としない医師によって多くの症例が治療されている実情がある.
まず確定診断をつけ,次に治療方針を立てていく過程で問診,理学的所見に加えて超音波による重症度評価を正確に行うことが重要である.われわれの施設では虫垂の層構造と血流の評価をすることで,重症度を分類し,それに基づいた治療方針を立てている.抗菌薬不要の軽症例から緊急手術を検討すべき症例,抗菌薬治療を先行させて待機的虫垂切除をプランする症例などに分類することで,それぞれの症例に適した治療が可能となる.
診療にあたる外科医全員が小児急性虫垂炎の臨床像をよく理解し,適切な診断,治療を提供するのが“外科医”としての重要な役割である.

キーワード
急性虫垂炎, 小児, 待機的虫垂切除術, 腹腔鏡下虫垂切除術

このページのトップへ戻る


PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。