[書誌情報] [全文HTML] [全文PDF] (797KB) [全文PDFのみ会員限定]

日外会誌. 121(2): 202-209, 2020


特集

臓器移植の現状と展望

9.移植免疫と免疫寛容

1) 順天堂大学 健康総合科学先端研究機構,肝胆膵外科
2) 順天堂大学 アトピー疾患研究センター

内田 浩一郎1) , 奥村 康2)

内容要旨
免疫抑制剤の生涯内服による併発合併症は,現在の臓器移植最大の課題である.生体の維持に必要な免疫反応は維持しながら,ドナー抗原に対する免疫応答を抑える免疫寛容の誘導は理想的な治療となりえる.臓器移植における免疫寛容誘導のアプローチは,造血幹細胞移植を併用するキメリズム誘導と生体内でドナー抗原に選択的な制御性T細胞を増幅させる方法で実現されているものの,寛容の誘導と維持にかかわるメカニズムや診断のバイオマーカーなど普及に向けて解決すべき課題は多い.本邦発の臨床試験にてCD80/86抗体によるドナー抗原選択的な抑制性T細胞を用いることで免疫寛容を誘導することが可能となった.この免疫寛容誘導法のさらなる普及にむけて,アカデミア中心の医師主導治験が準備されている.

キーワード
移植免疫, 免疫寛容, キメリズム, 制御性T細胞, 免疫モニタリング診断法


<< 前の論文へ次の論文へ >>

PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。