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日外会誌. 121(1): 19-26, 2020


特集

蛍光ガイド手術の現状と展望

3.消化管腫瘍に対する蛍光ガイド手術の進展

国際医療福祉大学病院 外科

吉田 昌 , 大平 寛典 , 星本 相淳 , 鈴木 範彦 , 成廣 哲史 , 丸口 塁 , 鎌田 哲平 , 竹内 秀之 , 鈴木 裕

内容要旨
近赤外蛍光の特徴は,組織透過性であり,深部に隠れた構造物を可視化することができる.最も汎用されるのは,Indocyanine green(ICG)である.消化管における血流評価では,虚血域を評価して切除範囲の判断をナビゲーションする場合や,食道癌・大腸癌切除後に再建時の血流評価に用いられてきた.胃癌におけるセンチネルノードマッピングにおいては,投与方法は統一されていないが,検出されるセンチネルノードの数がおおむね5~7個となる方法での成績が良好である.一方,近赤外蛍光を利用した消耗品の開発が待たれていたが,腫瘍位置のマーキングに用いる蛍光クリップが近日中に発売可能な状態にある.可視光を利用した蛍光ガイド手術としては,5-アミノレブリン酸(5-ALA)を用いた光力学診断法がある.手術前に5-ALAを投与すると,腫瘍にprotoporphyrin Ⅸ(PpⅨ)が蓄積するため,405nmの励起光を当てると,腫瘍は635nmの波長をもつ赤い蛍光を発する.もう一つの可視蛍光としては,Fluorescein蛍光があり,臓器表面の組織血流を評価するのにICGよりも優れている可能性がある.本稿では,現在起きつつある変化と,近い将来,すぐにでも使用可能なことについて概説した.

キーワード
Indocyanine green, fluorescent clip, 5-aminolevulinic acid, protoporphyrin Ⅸ, fluorescein

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