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日外会誌. 120(6): 682-687, 2019


会員のための企画

臨床試験に対する法規制―臨床研究法の概略と対応―

国立がん研究センター中央病院消化管内科,バイオバンク・トランスレーショナルリサーチ支援室 

加藤 健

内容要旨
2018年4月1日に臨床研究法が施行され,今まで行われてきた臨床研究の一部が,法制下のもとで行われるようになった.臨床研究不適切事案に対する反省を踏まえ,研究責任医師の責務,資金提供など利益相反の明確化などを行い,公正に質の高い臨床研究を行うことが臨床研究法のエッセンスである.大きな特徴の一つに認定臨床研究審査委員会(以下,CRB:Certified Review Board)の存在がある.これにより研究の申請と審査が1回で済むようになり,従来各施設で行っていた有害事象の審査などについても,1回審査となり,各施設の負担が減ることとなった.また,情報公開を一つのデータベースで行うことも大きな特徴である.これにより,研究者や,患者が臨床研究の情報にアクセスしやすくなり,臨床研究の促進にもつながることが期待されている.また,解析報告書をデータベースに登録しないと,研究を終了できないようになっており,解析結果によるバイアスが最小限になるよう工夫がなされている.研究者は変化に対応し,新たに臨床研究を行っていくことが求められている.

キーワード
特定臨床研究, 認定臨床研究審査委員会, 研究者の責務, 疾病等報告, 利益相反

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