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日外会誌. 120(5): 520-525, 2019


特集

外科医育成のためのOff-the-job training (Off-JT)の現状と将来

6.他職種(航空業界)のOff-JTに学ぶ

練馬光が丘病院 心臓血管外科

荒川 衛

内容要旨
現在,外科医のトレーニングはまだまだ確立したプログラムが存在するとは言い難い.外科医とパイロットは,一人前になるまでに長い年月を要するため,時折,似た状況として取り上げられる.今回,パイロットがどのような過程で機長となりさらには,その技能をどう維持していくかを取り上げた.
パイロットになるためには,就職活動で100~300倍という競争率でパイロット候補生となることから始まる.約2年間のOff-the-job training(Off-JT)を受けてから,実地訓練にはいり,副操縦士として認定される.それから約10年間のトレーニングを経て,機長昇格訓練に入り機長と認定されることで初めて一人前のエアラインパイロットとなる.その間には,教官パイロットから審査を受け,さらには機長になっても査察操縦士からの審査を受ける.その過程でOff-JTとOn-JTが組み込まれており,さらにtechnical skillとnon-technical skillの訓練があり,そのプログラムが法制化されている.
外科医のOff-JTのプログラムも,行政が管理する制度や,審査する制度が必要であるとも考えられるが,まずはOff-JTや日々のOn-JTに対して,外科医としてどのような態度で臨むべきかの一つの事案として,パイロットのトレーニングの方法や理念を学ぶことが重要であると考えられた.

キーワード
Off-the-job training, パイロット, 機長

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