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日外会誌. 120(4): 431-435, 2019


特集

膵手術・膵癌治療の進歩

7.膵頭十二指腸切除術―術前術後管理とドレナージ―

山形大学大学院 医学系研究科外科学第一講座

渡邊 利広 , 木村 理

内容要旨
膵頭十二指腸切除術(PD)の合併症は多岐にわたるが,膵液瘻あるいはそれに関連するものがほとんどである.本稿では,われわれが日頃から行っているPDの術前術後管理,ドレナージ法,膵液瘻に対する治療法について述べる.術前は外瘻による減黄と胆汁内服,栄養状態の把握と改善を行うと同時に,自らが病気と戦い治すのだという強い意思を持たせて排痰・呼吸訓練や万歩計を用いた歩行訓練を自発的に行わせるようにしている.術後はsoft pancreasでは多少の膵瘻が生じるものと考えて術中に予防的に積極的なドレナージを行うことで,術後の再ドレナージはほぼない.3日以内にBiochemical leakのみで,5日目CTで問題なければ早期抜去するが,臨床的膵液瘻が起こった場合は7日目にはドレーンをベッドサイドで交換し,ドレナージを継続することでほとんどは治癒する.ドレーン内アミラーゼ値が高値の例やドレーン内が「ねっとり」して内因性感染を併発している場合には,積極的にドレーン内の持続洗浄を施行して重症化させないようにすることで,経口摂取と発熱がない状態を保ち,治癒を促すようにしている.delayed gastric emptying発生時には,早期に栄養チューブを挿入して経管栄養とすることで創傷治癒の遅滞がないようにしている.

キーワード
膵頭十二指腸切除術, 術前管理, ドレナージ法, 膵液瘻治療, 栄養管理


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