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日外会誌. 120(3): 325-328, 2019


会員のための企画

「医師の働き方改革に関する検討会」の構成員として

岩手県立久慈病院副院長,外科 

遠野 千尋

内容要旨
2015年4月労働基準法改正案が国会に提出され,以来,改正案に関して数々の異論,反論が治まらない中,2018年7月に「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(働き方改革関連法案)」が成立しました.これは本年の2019年4月から施行されています.この法律の中で,時間外労働の上限規制が初の法規制になったことで,医療界に波紋を広げています.現状で,医師の時間外労働の上限規制が始まれば,診療科の偏在,地域の偏在により,それぞれの現場での医療体制崩壊が危惧されるからです.そのため,上限規制の適応に関して,医師は5年の猶予が与えられました.そして,厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」にて2017年8月から2019年3月までの期間で2024年4月の医師に対する施行に向けて医師の働き方に関して検討されています.2018年12月19日の第15回検討会において,他職種の通常の上限規制は当てはまらず,許容される時間外労働を延長することは決まりましたが,具体的内容は未定です.この原稿が皆さんの目に触れる頃には詳細が決定していると思います.過労死,過労自殺のような悲劇を招かないように,医師の健康確保のため,長時間労働の規制が必要とは考えます.しかし,外科医として,患者にとって,自分にとって満足する仕事をするには,ハードワークは不可欠とも考えます.そのためには後輩医師が仕事にやりがいを持つ,ワークエンゲイジメントの状態が保持できるように,上司としての配慮を忘れないようにしたいと思います.

キーワード
働き方改革, 過重労働, 時間外労働, 上限規制, ワークエンゲイジメント


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