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日外会誌. 120(3): 304-311, 2019


特集

外傷外科を取り巻く最新のトピックス

6.腹部コンパートメント症候群とopen abdomen management

1) 東北大学大学院 医学系研究科外科病態学講座救急医学分野
2) 東北大学病院 救急科・高度救命救急センター

久志本 成樹1)2) , 入野田 崇2) , 川副 友1)2) , 藤田 基生2)

内容要旨
重症外傷患者に対するdamage control surgery,腹部コンパートメント症候群の適切な診断と治療は,これまで救命困難であった患者に対する治療として広く認識されてきている.しかし,damage control surgeryにおける根本治療のための再開腹を前提とした一時的閉腹や腹部コンパートメント症候群に対する減圧のための開腹施行例では,早期に定型的筋膜閉鎖による閉腹が可能であるとは限らない.比較的長期にわたる腹部開放管理(open abdomen management)という大きな問題が生じる.
“Open abdomen”とは,腹壁に何らかの欠損があることによって腹腔内臓器が露出した状態を示し,外傷患者に対するdamage control surgeryにおいて意図して開腹創を閉鎖しないこと,あるいは腹部コンパートメント症候群に対する減圧として行う治療である.Open abdomen managementにおいては,体液・蛋白を喪失するだけでなく,腸瘻合併,定型的閉腹が不可能となる腹壁構成成分の欠損を合併しうる.一時的閉腹法は合併症を最小限にとどめるべく選択するが,陰圧閉鎖療法がもっとも広く用いられている.
適切なopen abdomen managementの実践なくして重症患者の適切な管理はできない.本領域においても新たな知見に基づく診療展開が期待される.
開放管理が長期に及んだ場合,腹壁の筋・筋膜は側方に偏位・退縮するため,腹腔内容の浮腫が軽減し,通常ならば定型的閉腹が可能な腹腔・後腹膜の状態となっても定型的筋膜閉鎖による閉腹は困難となり,大きな腹壁欠損を生じる1) 2) .
腹部コンパートメント症候群の病態と治療を知り,open abdomen managementを適切に施行することは,外傷外科に限定することなく重症患者診療に携わるすべての外科医に求められるテーマである.

キーワード
damage control, 腹部コンパートメント症候群, open abdomen


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