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日外会誌. 120(2): 183-188, 2019


特集

血管浸潤を伴う肝胆道癌の外科治療の現況

6.肝内胆管癌の大血管浸潤例に対する外科治療

千葉大学大学院 医学研究院臓器制御外科学

大塚 将之 , 吉富 秀幸 , 古川 勝規 , 高屋敷 吏 , 久保木 知 , 高野 重紹

内容要旨
肝内胆管癌(intrahepatic cholangiocarcinoma:ICC)は早期発見の困難さ,その浸潤性の発育形式から容易に門脈,肝動脈,下大静脈といった大血管に浸潤をきたす.そのような症例に対する外科治療は,その手術侵襲・リスクの高さから切除非適応とされていたが,近年では画像診断や手術手技・手術材料の改善,また,周術期管理の進歩から血管合併切除を伴う拡大肝切除も試みられるようになってきている.したがって,R0切除がのぞまれ,血管合併切除後の血行再建が可能であれば技術的には手術適応と考えられる.手技的には血管浸潤部位と程度を術前に十分確認し,適切な血行遮断法,再建法をプランニングすることが肝要である.一方,その成績・意義についてみると,門脈や下大静脈合併切除再建についてはmortality,morbidity,無再発生存,累積生存とも血管合併切除非施行例と同等とする報告が少ないながらみられ,自験例でもR0切除が得られれば血管合併切除非施行例と遜色ない成績が得られている.しかしながら,肝動脈切除再建については,ICC症例についての報告はなく,技術的にも,周術期管理の面でも,予後的にもいまだ確立しているとは言い難い.
ICCの血管浸潤例に対して有効な治療法は外科切除ではあるが,血管合併切除再建が比較的安全に施行できるようになったとはいえ,十分な術前検査,安定した手技,繊細な周術期管理が要求されるため,専門施設での施行が望ましい.

キーワード
肝内胆管癌, 血管浸潤, 合併切除, 血行再建

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