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日外会誌. 119(6): 652-657, 2018


特集

小児短腸症候群・小腸機能不全の最前線

7.IFALDに対する魚油由来脂肪乳剤の最新の知見

1) 東海大学医学部 小児外科
2) 国立成育医療研究センター 外科

渡辺 稔彦1)2) , 藤野 明浩2) , 金森 豊2)

内容要旨
小腸機能不全関連肝機能障害(intestinalfailure-associated liver disease:IFALD)は,主に新生児の外科的疾患に起因する短腸症候群に発症する合併症である.IFALDは長期静脈栄養に依存する小児の60%に起こるとされ,うち25~40%は末期の肝不全に陥る致死的な合併症として知られている.IFALDに対してω3系多価不飽和脂肪酸を豊富に含んだ魚油由来の脂肪乳剤の有効性が報告され,われわれもこれまでその有効性と安全性を報告してきた.これまでω3系脂肪酸の抗炎症効果について,エイコサノイド合成酵素のアラキドン酸合成に競合的に作用し起炎性エイコサノイドの産生を抑制する,と説明されてきたが,近年ω3系脂肪酸の活性代謝物であるレゾルビンやプロテクチンなどの抗炎症性脂質メディエーターが同定され,その生理機能が大きく注目されている.ω3系脂肪乳剤は早産・低出生体重児に対して副作用を認めず安全に使用され,本邦での薬事承認を目指した治験・多施設共同研究,あるいは本邦独自のω3系脂肪乳剤の開発が喫緊の課題である.

キーワード
ω3系脂肪乳剤, IFALD, 短腸症候群, 新生児, オメガベン

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