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日外会誌. 119(5): 509-514, 2018


特集

Marginally resectable 局所進行大腸癌への治療戦略

8.P2,P3腹膜播種

1) NCGM国立国際医療研究センター 外科
2) University Hospital Southampton (UK) 

矢野 秀朗1)2) , 合田 良政1) , 清松 知充1) , 竹村 信行1) , 山田 和彦1) , 國土 典宏1)

内容要旨
大腸癌腹膜転移(播種)でも,肝転移や肺転移と同様,systemic diseaseというよりlocal diseaseとして局所にとどまる例があり,外科切除が有効である可能性がある.現在最も有効と考えられる治療法は,腹膜切除を伴う完全減量切除+術中腹腔内温熱化学療法(CRS+HIPEC)の組み合わせである.腹膜病変の拡がりと治癒切除度を評価するにはそれぞれ腹膜播種スコア(Peritoneal Cancer Index;PCI)と減量切除スコア(Completeness of Cytoreduction score;CC score)が用いられる.
近年,分子標的薬も含めた全身化学療法が腹膜転移に対しても効果を示すことが知られ,術前補助化学療法後を上記の積極的外科治療に加えた集学的治療により,有効性を高め,かつ適応を広げることができる可能性がある.
手術適応(患者選択)は肝要で,画像所見や診査腹腔鏡を用いた術前の正確なPCIスコアの把握が望まれる.とくに診査腹腔鏡は,完全減量切除の可否予測,PCIスコア測定による予後予測などの意味からも重要である.
CRS+HIPECはP2,P3症例に対する治癒切除率を高め生存延長に寄与するとともに,P1,P2症例においても治療成績の向上をもたらす可能性がある.

キーワード
大腸癌, 腹膜転移, 腹膜播種, 完全減量切除, 術中腹腔内温熱化学療法(HIPEC)

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