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日外会誌. 119(5): 503-508, 2018


特集

Marginally resectable 局所進行大腸癌への治療戦略

7.鼠径リンパ節転移を伴う直腸肛門部癌

帝京大学 外科

松田 圭二 , 大野 航平 , 岡田 有加 , 八木 貴博 , 塚本 充雄 , 福島 慶久 , 赤羽根 拓弥 , 堀内 敦 , 小澤 毅士 , 島田 竜 , 端山 軍 , 岡本 耕一 , 土屋 剛史 , 野澤 慶次郎 , 橋口 陽二郎

内容要旨
肛門管癌の組織型は,本邦では腺癌が多く,欧米では扁平上皮癌が大部分を占める.腺癌,扁平上皮癌に分けて,直腸肛門癌の鼠径リンパ節転移について述べた.
腺癌における鼠径リンパ節転移は,すでに他臓器転移を併発しているものも多く,手術をしても予後不良である.しかし,鼠径リンパ節単独転移であれば,術後の長期生存も得られている.鼠径リンパ節単独転移症例,あるいは他の転移巣を鼠径リンパ節と同時に切除可能な症例に,鼠径リンパ節郭清を行うことが推奨される.鼠径リンパ節郭清術は合併症が多く,癌再発率も高いことから,今後は術後の化学療法,放射線療法を組み合わせた集学的治療の確立が必要になる.
扁平上皮癌の場合でも,鼠径リンパ節転移は予後不良因子である.奏効率が高いことから,化学放射線療法が第一選択である.鼠径リンパ節転移を生検で確認し,遠隔転移がなければ,化学放射線療法が行われる.転移陰性であっても鼠径リンパ節を照射範囲に加える.

キーワード
鼠径リンパ節転移, 直腸肛門部癌, 肛門管癌, 化学放射線療法, 鼠径リンパ節郭清

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