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日外会誌. 119(3): 299-305, 2018


特集

外科医のがん研究

8.外科医による小児がんに対するトランスレーショナルリサーチ

京都府立医科大学 小児外科

田尻 達郎 , 木村 幸積 , 田中 智子 , 竹内 雄毅 , 馬庭 淳之介 , 文野 誠久

内容要旨
小児がんは症例毎にその腫瘍の悪性度が様々であることから,その治療にあたっては,まず腫瘍の生物学的悪性度を判定することが必要不可欠である.主に分子生物学的手法を用いたトランスレーショナルリサーチを,実際に小児がんの治療を行う外科医が携わることは,症例毎の高度なテーラーメイド型治療につながる.また,小児がんに対する集学的治療において,小児外科医を中心とする外科医の役割は主に手術であるが,外科医自身が,小児がん治療全体,および,小児がんのバイオロジーを理解した上で患児の20年後のQOLを考えた可能な限りの臓器温存手術を検討することが重要である.そのような手術を実行するためにも,小児がんに対する外科療法以外の新規治療法開発の研究に若手外科医が携わり,その成果を踏まえて外科療法と組み合わせた集学的治療を構築していくことが肝要である.
本稿においては,最近教室において外科医の立場から行ってきている,代表的小児固形腫瘍である神経芽腫に対する新規治療法の開発を目指した研究として,「神経芽腫におけるMAPK経路解析による分子標的治療の開発」と「間葉系幹細胞を利用した神経芽腫治療におけるドラッグデリバリーシステムの開発」を紹介する.

キーワード
小児外科, 小児がん, 神経芽腫, トランスレーショナルリサーチ


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