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日外会誌. 119(2): 150-156, 2018


特集

外科診療における遺伝学的検査の意義

3.内分泌

医療法人野口記念会野口病院 外科

内野 眞也

内容要旨
外科一般診療において,遺伝学的検査が最も身近に感じられるのが内分泌外科領域である.その最大の理由は,甲状腺髄様癌に対するRET遺伝学的検査が保険収載されていることが大きい.RET遺伝学的検査は98%以上の遺伝性髄様癌家系において変異が証明され,変異を有する患者の生涯浸透率が100%に近い.また変異が特定の部位に集中しており,遺伝子型と臨床病型が深く相関している.さらに変異の有無により甲状腺手術術式が決定されること,小児に対する予防的甲状腺全摘という治療選択が可能になることより,家族性腫瘍の中でもRET遺伝学的検査はモデル的な存在となっている.他の内分泌外科領域における遺伝性疾患(多発性内分泌腫瘍症1型,家族性大腸腺腫症に伴う甲状腺癌,Cowden症候群など)においても,遺伝学的検査は術式決定のための強力なツールになっており,遺伝学的検査の知識は欠かせないものとなっている.

キーワード
RET遺伝学的検査, MEN1遺伝学的検査, APC遺伝学的検査, PTEN遺伝学的検査, CDC73遺伝学的検査

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