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日外会誌. 118(5): 551-555, 2017


会員のための企画

進行がん患者を看取りまで支える在宅医療

あおぞら診療所 

川越 正平

内容要旨
在宅医療は,地域を“病棟”ととらえれば,病棟と大きな遜色のない医療を継続できることが理解できる.「生活の視点」に基づいて医療ケアを提供する診療形態である点が最大のアドバンテージである.高齢多死社会となり,疾患の軌道の重要性が叫ばれる時代となった.進行がん患者は,狭義のがん治療や支持療法さえ提供されれば安心を得られる訳ではない.進行がん患者が必要とする支援を「地域」「家族」「患者」の三つのカテゴリーに分類する.「地域」という文脈においては,医療連携上の重要概念であるがん患者二人主治医制を紹介するとともに,多様な「住まい」の選択肢の存在を解説する.「患者」「家族」という文脈においては,疾病理解やセルフケア,情報提供やその質の吟味,不安・相談の応受やピアサポートなどの支援を提供する必要がある.中でもEnd of life discussionを含む継続的な意思決定支援の重要性を指摘する.今後,がん治療医と在宅医,そして病院医療と地域医療ケアが,共同してがん患者を支援する体制を構築していく必要がある.

キーワード
在宅医療, 生活の視点, がんの軌道学, 二人主治医制, 意思決定支援


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