[書誌情報] [全文HTML] [全文PDF] (531KB) [会員限定]

日外会誌. 118(5): 527-531, 2017


特集

外科専門医のための外傷外科手術off-the-job training(OFF-JT)

5.Surgical Strategy and Treatment for Trauma(SSTT)コース

1) 島根大学医学部 Acute Care Surgery講座
2) 島根大学医学部附属病院 高度外傷センター
3) りんくう総合医療センター 大阪府泉州救命救急センター

渡部 広明1)2) , 比良 英司1)2) , 中尾 彰太3) , 井戸口 孝二3) , 水島 靖明3) , 松岡 哲也3)

内容要旨
外傷外科手術は年々減少傾向にあるものの,依然手術でなければ救命できない体幹部外傷は存在する.従来のon-the-job training(ON-JT)のみでは外科医の外傷外科トレーニングが困難となってきた現在,これを補完するoff-the-job training(OFF-JT)の重要性が増している.ここではSurgical Strategy and Treatment for Trauma(SSTT)コース誕生の背景とその特徴について解説する.本コースは手技習得のみに力点を置いたコースではなく,治療戦略を決定する能力,チームワークを構築する能力を習得できるコースとして開発された.特に同一施設の医師,看護師でチームを編成して受講しチームワークを構築しながら外傷外科手術をトレーニングできるという特徴がある.また海外から導入されたものではなく日本の実情に即した内容を学習する日本独自のコースでもある.コース内では外傷外科手術に重要とされる四つの要素(迅速性と的確性,戦略,戦術,チームワーク)を強調して学習し,この四つを常に構築するような思考過程を机上シミュレーションや座学,さらには大動物を使用した手術実習を通じて学習する.本コースは単なる外科医の手技トレーニングコースではなく,看護師を含めた外傷チームを養成することのできる教育コースであり,本邦における外傷外科手術教育として期待されるコースと言える.

キーワード
外傷外科手術, off-the-job training, 外傷チーム, チームシミュレーション


<< 前の論文へ次の論文へ >>

PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。