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日外会誌. 118(5): 506-512, 2017


特集

外科専門医のための外傷外科手術off-the-job training(OFF-JT)

2.Advanced Trauma Operative Management(ATOM)コース

1) 九州大学大学院 医学研究院先端医療医学講座災害救急分野
2) 北海道大学大学院 医学研究院外科系部門外科学分野消化器外科学教室Ⅱ
3) 東北大学病院 高度救命救急センター
4) 東北大学大学院 医学系研究科外科病態学講座救急医学分野
5) 帝京大学 高度救命救急センター
6) 自治医科大学附属病院 救命救急センター
7) 大阪市立大学医学部附属病院 救命救急センター
8) 大阪市立大学大学院 医学研究科救急医学
9) 九州大学病院 救命救急センター
10) 九州大学大学院 消化器・総合外科
11) 九州大学大学院 医学研究院先端医療医学講座災害救急分野
12) 自衛隊中央病院 
13) 自治医科大学附属病院 外科

永田 高志1) , 村上 壮一2) , 佐藤 武揚3) , 久志本 成樹4) , 藤田 尚5) , 伊澤 祥光6) , 晋山 直樹7) , 溝端 康光8) , 赤星 朋比古9) , 前原 喜彦10) , 橋爪 誠11) , 千先 康二12) , アラン 瓦井 レフォー13)

内容要旨
Advanced Trauma Operative Management(ATOM)コースとは,体幹部穿通性外傷に対する手術管理に必要な外科的知識と手技を学ぶためウエットラボにて行われる教育トレーニングである.本稿では日本でのコースの取り組みを説明し,近年の国内外の論文をもとに,ATOMコースの有効性と問題点,ATOM看護師コース,そして戦傷外科とATOMコースについて最新の知見を紹介する.ATOMコースの有効性と問題点であるが,受講した外科医より自己効力感self-efficacyを得ることが出来た報告がある一方,ブタを用いた研修であるため人間との解剖学的相違や施設,動物倫理の問題が挙げられた.米国では外傷手術におけるチーム医療を学ぶために手術室看護師を対象としたATOM看護師コースが開発され,その有効性が報告されている.2001年から始まったイラク・アフガニスタン戦争において,戦傷外科特にダメージコントロール手術の重要性が認識され,ATOMをはじめとするウエットラボでの研修の必要性が指摘された.また米国における銃乱射事件の増加を受けて,警察・消防・救急隊・医療機関の役割分担を明記したハートフォードコンセンサスが2013年に発表された.

キーワード
ATOMコース, ダメージコントロール手術, 自己効力感self-efficacy, ハートフォードコンセンサス, 救命ドクトリン

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