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日外会誌. 118(4): 402-406, 2017


特集

大腸癌診療の最近の動向

3.直腸癌に対する術前化学放射線療法

三重大学大学院 医学系研究科生命医科学専攻病態修復医学講座消化管・小児外科学

井上 靖浩 , 藤川 裕之 , 廣 純一郎 , 問山 裕二 , 荒木 俊光 , 毛利 靖彦 , 楠 正人

内容要旨
側方リンパ節郭清を中心に進歩した本邦での進行直腸癌治療も,化学放射線療法など複数の治療モダリティの導入で新たな展開を迎えている.しかしながら,化学放射線療法における照射方法,タイミング,併用化学療法が多様化しており,至適治療法は確立されていないのが現状である.全生存率向上への寄与,側方リンパ節転移例への意義,括約筋間直腸切除術(ISR;intersphincteric resection)との両立など未解決課題も多い.また,完全奏効(CR;complete response)例に対するWait-and-See policyなど,新たな展開も注目されている.すなわち化学放射線療法を用いた局所進行直腸癌への術前アプローチは,予後改善のみならず,自然肛門温存の観点からも大きな将来性を担っており,今後より一層の発展が期待される.

キーワード
進行直腸癌, 術前化学放射線療法, 側方リンパ節転移, 括約筋間直腸切除術


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