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日外会誌. 118(4): 395-401, 2017


特集

大腸癌診療の最近の動向

2.切除不能進行・再発大腸癌に対するConversion Surgeryの可能性(化学療法の位置付け)

九州大学大学院 消化器・総合外科

沖 英次 , 中西 良太 , 杉山 雅彦 , 藏重 淳二 , 中島 雄一郎 , 安藤 幸滋 , 佐伯 浩司 , 前原 喜彦

内容要旨
大腸癌は,たとえ初診時に切除不能であっても化学療法と外科治療を含む集学的治療により根治の機会がある疾患である.ただし,切除に移行する明確な基準はなく,化学療法後に技術的に切除が可能となれば,各施設の判断で切除が行われている.最近では肝肺転移に関しては,初回治療時に切除不能でも,多くの症例を潜在的切除可能症例として切除を念頭に化学療法を行う施設が多くなってきた.このように初回治療時切除不可能であった症例に治癒目的で切除を行うことをConversion Surgeryと呼んでいる.このConversion Surgeryを目的とした化学療法における薬剤選択は,RAS変異による分子標的薬の使い分けが以前より注目されている.RAS wild症例には分子標的薬として抗EGFR抗体薬を併用した化学療法の奏功率が高いことが報告されているが,抗VEGF抗体薬にくらべConversion Surgeryに有用かどうかはまだ不明な点が多い.現在日本では大腸癌一次療法のランダム化試験が複数行われており,分子標的薬の最適な選択法や日本の外科医による真のConversion Surgeryへの移行率などが明らかになることが期待される.

キーワード
切除不能進行・再発大腸癌, 術前化学療法, Conversion Surgery, 分子標的薬, 肝限局転移

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