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日外会誌. 118(1): 51-58, 2017


特集

外科手術における画像支援の現状と今後の展開

8.膵臓―膵切除における3D解析活用の可能性―

都立墨東病院 外科

脊山 泰治

内容要旨
肝切除において,画像支援ナビゲーション技術が確立し,日常臨床でも欠かせないものになったが,膵切除においては,膵臓解析法が確立していないこと,術式のバリエーションが少ないこと,膵切除容量計算の意義が臨床上明らかではないことから,画像支援ナビゲーションはまだ一般的ではない.しかし近年,三次元(three dimension:以下3D)解析手法の工夫や進歩により,膵切除においても画像支援ナビゲーションの試みが報告されるようになってきた.術前のCTデータから膵像3D解析を行うことで,動脈系,門脈系,膵実質,腫瘍位置などの術野解剖を術前に把握することができる.また3D解析データを使用し3Dプリンターにより生体質感で色つきの臓器立体モデルを作成可能になり,腫瘍位置や,膵実質脱転のイメージなどより直感的な理解が得られた.術前シミュレーション,術中ナビゲーションに加え,医学教育,情報共有など色々な効果が期待できる.膵臓3D解析,臓器立体モデルによる画像支援は臨床応用可能なレベルまで進歩してきた.腹腔鏡手術や血管変異症例など臨床セッティングを想定した症例で有用と考えられる.

キーワード
膵切除, 3D解析, 臓器立体モデル, 異所性右肝動脈


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