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日外会誌. 117(6): 523-528, 2016


特集

乳癌診療の現況からみた将来

8.薬物療法の実際

帝京大学 医学部外科学講座

神野 浩光

内容要旨
乳癌の薬物療法には化学療法,内分泌療法および分子標的療法があり,症例毎のStageと生物学的特性に基づいてその適応を決定する.現在のところ有効な化学療法の効果予測因子が存在せず,実地臨床では臨床病理学的因子を参考にその適応を決定している.今後,多遺伝子アッセイが化学療法の有効な効果予測因子となる可能性がある.内分泌療法はエストロゲン依存性の増殖を示すluminal乳癌が適応となり,エストロゲンの増殖刺激抑制あるいは体内のエストロゲンレベルの低下がそのメカニズムである.閉経前ではselective estrogen receptor modulatorが基本であり,リスクに応じてLHRH agonistの併用も検討する.閉経後ではアロマターゼ阻害剤が適応である.内分泌療法の投与期間は5年間が標準であったが,5年以上投与の有用性も示されている.HER2陽性乳癌には分子標的療法であるトラスツズマブの有用性が確立している.

キーワード
化学療法, 内分泌療法, 分子標的療法


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