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日外会誌. 117(5): 395-402, 2016


特集

内視鏡外科手術は新たなステップへ

8.新たな手術手技に向けた医療機器開発

九州大学 先端医療イノベーションセンター大平開発チーム

大平 猛

内容要旨
完全治癒を目指す外科手術法の確立に加え,患者負担を軽減する新たな外科手術法が多数提案されている.経消化管手技を伴うLaparoscopy and Endoscopy Cooperative Surgery(LECS)などでは従来機器の適応外使用により危険な状況を生じ得る.画期的な低侵襲外科治療の普及には専用の新機器開発・量産化・世界的普及が必要である.しかし,基礎開発に多額の助成金が費やされ,最終コストが国際競争力を持たない高額化を来たし,論文・学会発表にて知財戦略でも失敗する例が少なくない.機器開発ではニーズ解析,およびその解析要素をパートナー企業が満たし得るかを評価する事が必須となる.また,外科医は量産化する企業の技術的要件・人員数要件・工作機器要件・粉塵対策を含む環境要件,海外展開上必要なInternational Organization for Standardization(ISO)準拠インフラの有無,知財戦略部の有無,医療機器承認取得に要する内部留保状況,更には,国内外への販売企業との連携状況などを産学連携事業として把握する必要がある.更に,新製品の量産化と並行して学会・公的班会議を通して厚生労働省に新外科手技が保険診療化されるための外科医クラスターが構築される必要もある.本稿ではLECSの一つであるMulti piercing surgery(MPS)に必用な高速消化管洗浄装置にスポットを当て,新たなmicro-nano-bubble発生技術を用いた機器開発の要点を記載する.

キーワード
鏡視下手術, LECS, MPS, 薬事法, 商品化


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