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日外会誌. 117(5): 364-369, 2016


特集

内視鏡外科手術は新たなステップへ

3.RPS(Reduced Port Surgery)

大阪医科大学 一般・消化器外科

朝隈 光弘 , 内山 和久

内容要旨
腹腔鏡手術からさらに体壁破壊を減少させる努力がなされ,Reduced Port Surgeryという呼称で広まりつつある.その定義に定まったものは無いが,低侵襲性を追求し,体壁破壊を工夫によって従来型腹腔鏡手術より減少することを目的とした手術,と言える.本手術の優位性は胆嚢摘出術においてのいくつかのメタ解析論文によると,整容性は優れており,術後疼痛,在院日数,合併症発生率には差がなく,手術時間は延長する.と結論されている.しかし,登場して間もない新しい手術と成熟した従来式腹腔鏡手術での比較のため今後の展開に注目する必要がある.“Reduced Port Surgery”で報告を検索すると,この数年増加傾向にあり,胃や大腸領域からの報告が多くみられる.胆嚢摘出術からより進んだ手術への適応が進んでいる事がみてとれる.また,その半数が日本からの報告であり,改良,工夫が得意な日本人の特性に相性が良いことも伺える.今後,手術機器の発展と患者のニーズを両輪に,発展していくと思われる.特に手術機器の発展は重要であり,日本発の開発が期待される.侵襲性のみならず,安全性,術者のストレス,教育性,経済性,根治性,など数多くの因子が絡みながらも最適解へと向かっていくだろう.

キーワード
Reduced Port Surgery, 単孔式手術, Needlescopic Surgery, NOTES, 体壁破壊


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