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日外会誌. 117(4): 331, 2016


手術のtips and pitfalls

「大動脈弁疾患に対するOpen Surgery」によせて

佐賀大学 胸部・心臓血管外科

古川 浩二郎

内容要旨
近年,大動脈弁疾患に対する治療体系が,大きく変容してきています.大動脈弁狭窄症に対しては,本邦においてもTAVI(経カテーテル大動脈弁移植術)が臨床導入され,良好な近接期の治療成績をあげています.今後,TAVIの適応症例は増加するものと考えられます.開心術による大動脈弁狭窄症に対する大動脈弁置換術は,TAVI不適応症例など,より多くのhigh risk症例が対象になると考えられます.そういった現状の中で,大動脈弁置換術は,より一層の安全性および長期にわたる安定性が望まれます.また,大動脈弁閉鎖不全症に対しては,その逆流機序の解明が進み,また人工弁の欠点(ワーファリン服用,血栓・塞栓症,耐久性)を凌駕すべく大動脈弁温存術が多く行われる様になりました.しかし,大動脈弁温存術に関しては,その適応,手術手技,長期成績などを含め確立しているとは言い難いと思います.
そこで今回の「手術のtips and pitfalls」では,大動脈弁疾患に対するOpen surgeryにおける代表的な手技,大動脈弁狭窄症に対する大動脈弁置換術と大動脈弁閉鎖不全症に対する大動脈弁温存術,を企画しました.大動脈弁置換術の執筆は,市中病院においてhigh risk症例を多く含んだ症例群に対して,卓越した手術成績を残しておられる,福岡徳洲会病院心臓血管外科部長の片山雄二先生に,また大動脈弁温存術(Remodeling法+Annuloplasty)に関しては,長くドイツのSchäfers教授の右腕として活躍されて,現在心臓血管研究所付属病院心臓血管外科部長である,國原孝先生にお願いしました.両先生の記述は,実際の手術手技の多くのポイントが記載されています.この企画が会員諸氏の大動脈弁疾患に対するopen surgeryのレベル向上に役立つものと考えます.


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