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日外会誌. 116(6): 384-388, 2015


会員のための企画

局所進行肺癌に対する手術戦略

根治不能癌に対する治療戦略

順天堂大学大学院 医学研究科呼吸器外科学講座

鈴木 健司

I.内容要旨
局所進行肺癌における根治不能肺癌がどういった肺癌を示すかに関しても大いに議論のあるところである.切除不能局所進行肺癌でも化学療法と放射線治療により約20%の長期生存が期待できるようになったので,切除不能がすなわち根治不能ということにはならない.しかし,本稿では議論の混乱を招かないために切除不能肺癌に対する治療戦略を中心に論じた.切除不能局所進行肺癌とは二つの意味があり,技術的に切除不能という意味と技術的に切除は可能であるが高率に再発を来す,つまり腫瘍学的に切除不能という意味である.この切除不能局所進行肺癌の代表はN2肺癌ということになる.これに対する治療は化学療法と放射線が中心となる.化学療法と放射線を同時に行う方が逐次行うよりも治療成績がよい.つまり,標準治療はconcurrent chemoradiotherapy(CRT)ということになる.一方でこの治療後の再発は80%に認められ,局所単独再発も30%から50%に認められるので十分とは言いがたい.これらの局所再発を低率化するためにRTOGでは化学放射線量の増加を試みたが予後の改善には至らなかった.つまり,この局所制御を改善するためには理論的には手術となる.いわゆるsalvage surgeryということになるが,その適応に関しては未だ議論の多いところである.

キーワード
salvage surgery, definitive chemoradiotherapy, bronchoplastic technique


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