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日外会誌. 116(6): 374-377, 2015


特集

ノンコーディングRNAの外科領域における意義

6.肺癌における意義

1) 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 呼吸器・乳腺内分泌外科学
2) 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 臨床遺伝子医療学

山本 寛斉1) , 豊岡 伸一1)2) , 牧 佑歩1) , 宗 淳一1) , 三好 新一郎1)

I.内容要旨
ノンコーディングRNA(non-coding RNA,ncRNA)はタンパク質へ翻訳されずに機能するRNAの総称であるが,近年ノンコーディングRNAの癌における異常が報告されている.特にマイクロRNA(micro-RNA,miRNA)と長鎖ノンコーディングRNA(long non-coding RNA,lncRNA)はバイオマーカーとしての可能性が示唆されており,肺癌においてもmiRNA-21(miR-21),miR-34,miR-200などのmiRNAやMALAT1HOTAIRBANCRなどのlncRNAの発現異常が報告されている.そのため,ncRNAは肺癌の早期診断・予後予測・化学療法や放射線療法の感受性判定に使用されるバイオマーカーや,新規の治療標的として臨床応用することが期待されている.
外科医の肺癌治療における役割は,確かな外科手技を手術適応のある肺癌患者に提供することであるが,肺癌治療成績の向上に更に大きく貢献するためには,より鋭敏なスクリーニングテストを用いて肺癌根治手術症例を増やすこと,肺癌手術症例において再発リスクの高い患者を漏らさず濃厚に観察することで再発症例を早期に確実に検出することが必要である.血液検体や肺癌切除検体においてncRNAの解析を行い,新たなバイオマーカーを探究することは一つの方法である.外科医は臨床検体へのアプローチが容易であることから,検体提供のみならず主体的な立場で研究を進めることが望まれる.

キーワード
肺癌, ノンコーディングRNA(non-coding RNA,ncRNA), マイクロRNA(microRNA,miRNA), 長鎖ノンコーディングRNA(long non-coding RNA,lncRNA)

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