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日外会誌. 116(6): 357-359, 2015


特集

ノンコーディングRNAの外科領域における意義

2.癌細胞のリプログラミングとその臨床応用

1) 大阪大学大学院 医学系研究科消化器癌先進化学療法開発学
2) 大阪大学大学院 医学系研究科癌創薬プロファイリング
3) 大阪大学大学院 医学系研究科消化器外科学

今野 雅允1) , 石井 秀始2) , 土岐 祐一郎3) , 森 正樹3)

I.内容要旨
細胞の性質を大きく変化させる手段としてiPS(Induced Pluripotent Stem)細胞を代表とするリプログラミング技術が挙げられる.iPS細胞はたった四種類の転写因子(Oct3/4,Sox2,Klf4,cMyc)を細胞に導入するだけで最終分化した細胞がその性質を大きく変え,受精卵に近い未分化な細胞へと分化転換する.ところで消化器癌組織の中には癌幹細胞と呼ばれる浸潤転移や治療抵抗性,造腫瘍能等の癌の悪性形質を担う謂わば癌の親玉的存在の細胞が存在すると考えられている.癌幹細胞は現状の化学療法では治療不能であるため,癌は再発,浸潤転移を起こし不帰の転帰を辿ることとなる.したがって癌幹細胞の性質を大きく変化させ治療感受性を持たせるための革新的技術は,癌の根絶に向け非常に重要な研究課題であると考えられている.本稿ではiPS細胞を始めとするリプログラミング技術を癌幹細胞へ応用することにより,癌の悪性形質を大きく変換させる新技術および臨床応用に向けた核酸医薬品の開発について紹介する.

キーワード
iPS, マイクロRNA, リプログラミング, 癌幹細胞, 治療抵抗性

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