[書誌情報] [全文HTML] [全文PDF] (233KB) [会員限定]

日外会誌. 116(5): 302-306, 2015


特集

最新低侵襲手術(ロボット,内視鏡下手術)の現状と将来

4.肝胆膵外科の内視鏡下手術

東邦大学医学部 外科学講座(大森)一般・消化器外科

金子 弘真

I.内容要旨
肝胆膵領域における低侵襲性手術は急速に進歩している.肝臓や膵臓分野ではメタアナリシスで,開腹術との比較において術後合併症軽減や非劣性の長期成績などの報告も増えてきている.ただ,胆摘術を除いてその症例数は少なく,クリニカルエビデンスの充足については未だ十分とは言えない.
第2回腹腔鏡下肝切除術国際コンセンサス会議(以下,第2回国際コンセンサス会議)が2014年10月に本邦で開催され,多数の技術的推奨や安全性,そして今後の方向性を示せた会議となった.
胆嚢摘出術では特に急性胆嚢炎と診断され緊急入院後48時間以内のLaparoscopic Cholecystectomy(LC)が手術時間,合併症や術後在院期間,そして医療経済的にも望ましいと報告されている.一方で単孔式手術に代表されるポート数削減についてはそのメリットは十分に見出されていないとのRCT(Randomized Controlled Trial)の報告がある.
腹腔鏡下膵体尾部切除に対する有効性を検証する報告は多いが,膵液瘻の問題に関しては開腹手術同様に追及すべき最重要課題である.腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術は技術的難易度から手術時間はかかり,メリットがどこにあるのか検討は不十分である.
ロボット手術が高難度肝膵切除の低侵襲性手術精度を向上させるという期待は高いが,ロボットの必要性や役割については症例の蓄積による詳細な報告が待たれる.

キーワード
肝胆膵手術, 腹腔鏡下肝切除術, 腹腔鏡下胆嚢摘出術, 腹腔鏡下膵切除術, ロボット手術


<< 前の論文へ次の論文へ >>

PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。