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日外会誌. 116(3): 166-170, 2015


特集

下肢静脈疾患治療における地殻変動

6.内視鏡下筋膜下不全穿通枝切離術(SEPS)

川崎医科大学 心臓血管外科

田淵 篤 , 正木 久男 , 種本 和雄

I.内容要旨
下肢静脈瘤重症例(CEAP臨床分類:C4b-C6)に対する外科治療は,弁不全のある表在静脈の逆流遮断のみでなく,不全穿通枝の血流を遮断して静脈還流障害(静脈鬱滞)を阻止することが重要である.色素沈着や皮膚脂肪硬化などの皮膚変化のない部位に小切開を加え,筋膜下腔に内視鏡を留置して不全穿通枝を切離する内視鏡下筋膜下不全穿通枝切離術(subfascial endoscopic perforator vein surgery:SEPS)は,従来から行われていた筋膜下不全穿通枝結紮術(Linton手術)と比較して手術創に関連した合併症の頻度が少なく,低侵襲である.またSEPSは不全穿通枝を確実に同定,切離することが可能であり,重大な合併症はなく,治療成績も良好であり,不全穿通枝に対する手術療法として発展した.SEPSは本邦において,2014年4月に保険収載され,下肢静脈瘤の不全穿通枝に対する有用な手術として更に発展,普及することが期待される.

キーワード
下肢静脈瘤, 静脈鬱滞性潰瘍, 不全穿通枝, 内視鏡下筋膜下不全穿通枝切離術(SEPS), 内視鏡下静脈疾患治療研究会

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