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日外会誌. 116(1): 64-69, 2015


特別寄稿

外科領域におけるHealth Technology Assessment

1) 京都大学 学際融合教育研究推進センター政策のための科学ユニット
2) 京都大学 大学院医学研究科消化管外科
3) 京都大学 大学院医学研究科薬剤疫学
4) 京都大学 大学院経済学研究科
5) 京都大学 白眉センター

錦織 達人1)2) , 川上 浩司1)3) , 後藤 励1)4)5) , 肥田 侯矢2) , 坂井 義治2)

I.内容要旨
我が国の国民皆保険制度は,財政的に逼迫した状態にある.限られた資源をより効率的に使用し,最大限の効果を実現させるための方策の一つが,Health Technology Assessment(HTA)である.HTAは,新しい治療を効能とともに価値の観点から評価し,「その治療を受ける価値があるのか」という問いに答えを与える.またHTAにより,価値ある医療を適切に評価することで,イノベーションが促進されると考えられている.我が国でもHTAの導入が検討され,手術も評価の対象となる可能性が示唆されている.外科領域のHTAの実践には,医薬品とは異なる評価の手法の構築が必要である.そして安全性,有効性の評価にはBig Dataを用いた観察研究的手法が有用となる.患者の生活の質や費用のデータを含んだ臨床研究の充実が求められている.医療の質を損なわないように,外科医療の価値を正しい手法で評価し,限りある資源を活用するためには,疫学など異分野の専門家と連携することが重要である.

キーワード
Health Technology Assessment, 費用対効果, 医療経済


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