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日外会誌. 116(1): 56-59, 2015


会員のための企画

肛門機能性疾患の新しい治療法

仙骨神経刺激療法

1) 関西医科大学附属滝井病院 外科
2) 関西医科大学附属枚方病院 外科

吉岡 和彦1) , 徳原 克治1) , 權 雅憲2)

I.内容要旨
便失禁は患者にとって肉体的,精神的に苦痛であり,症状を有していても羞恥心のため医療機関をすぐに受診することにも抵抗感を持つことが多い疾患である.治療は通常保存的に行われるが,症状が改善しない場合は括約筋修復術などの外科的治療が行われてきた.しかし,近年欧米を中心に仙骨神経刺激療法が便失禁の治療として行われるようになってきた.本邦においても平成26年4月よりこの治療法が保険適用となった.この治療法は仙骨神経を刺激する電極を仙骨孔から挿入し,電気刺激装置を腰部の皮下に埋め込んで便失禁の症状改善を得ようとするものである.この治療の特徴は刺激装置を植え込む前に体外から試験的に刺激を与えて実際に効果があるかどうかを確認できることと,手術が低侵襲であることである.第1期の手術では仙骨神経を刺激するリードを植え込み,そのリードが確実に仙骨神経を刺激していることを確認してから体外式の刺激装置に繋ぐ.約2週間便失禁の程度が術前に比べて明らかに改善している場合に第2期の手術で永久的な刺激装置を腰背部の皮下に植え込む.現在までの報告では手術成績は良好である.試験刺激で効果を認めるものが約70%,永久の刺激装置を植え込んだ症例の約75%に症状の改善が見られている.一方で,永久の刺激装置を埋め込むとMRIなどの検査を受けられないなどのデメリットもある.

キーワード
仙骨神経刺激療法, 便失禁, 排便障害, 刺激装置


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