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日外会誌. 116(1): 35-39, 2015


特集

食道胃接合部癌の治療―今後の展望―

4.TNM分類における接合部癌の位置づけ

神奈川県立がんセンター 消化器外科

吉川 貴己

I.内容要旨
現行のTNM第7版では,新たに接合部癌を「腫瘍の“epicenter”が接合部の上下5cm以内にあり,かつ接合部に浸潤する癌」と定義している.進行度は,腺癌と扁平上皮癌とに分けられ,それぞれ食道癌の規約によって分類されることとなった.TNM第6版までは医師判断で決めていたため混乱が起きたこと,胃癌の分類では部位による予後の差があったこと,米国内での噴門部癌/下部食道癌の増加と同一疾患単位としての考え方,などを背景として,TNM第7版では,上記のルールが制定された.接合部癌の定義には,腺癌の定義/分類である,Siewert分類が意識されている.扁平上皮癌やSiewert Type I腺癌を食道癌として取り扱うことに異論はない.問題はType IIとType IIIであり,定義,解剖,予後反映という点で疑義が残る.これまで,ドイツ,韓国,本邦より,Type IIとType IIIの予後を反映するのは,食道腺癌の分類か胃癌の分類かが検証されてきた.本邦からは食道腺癌よりも胃癌の分類がより予後を反映するとの報告がある.

キーワード
癌, 接合部, 食道, 胃, TNM


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