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日外会誌. 116(1): 24-28, 2015


特集

食道胃接合部癌の治療―今後の展望―

2.食道胃接合部とは

東海大学 医学部外科学系消化器外科

幕内 博康

I.内容要旨
食道胃接合部とは,筋層構造上の食道と胃の境界部である.
食道には上端と下端に括約部(UES,LES)があり,UESの上端からLESの下端までが食道であると考える.ゆえにLES下端が食道胃接合部である.
UESとLESには粘膜内に柵状血管網が存在する.これは括約機構による血行障害を避けるために発達したものである.それゆえ,柵状血管網の下端が食道胃接合部である.
柵状血管網の下端は,内視鏡検査と切除生標本で観察することができる.
X線造影検査,病理固定標本では口径差が著しい部分を食道胃接合部とするが,食道裂孔ヘルニア例では不一致となることもある.
病理組織学的にLESの同定は困難である.
通常例では粘膜接合部は食道胃接合部として大きなずれはない.Barrett食道や逆流性食道炎症例では,扁平上皮島,固有食道腺あるいはその導管,粘膜筋板の二重構造などを参考にして推定診断を行う.
内視鏡検査で柵状血管網が観察できなかったり,X線造影検査のヘルニア例では,胃の皺壁の口側端を食道胃接合部とする.1cm前後肛側へずれることが多い.
さらなる検討を要する.

キーワード
食道胃接合部, 下部食道括約帯, 柵状血管網, 食道裂孔ヘルニア, Barrett食道


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